──個性の違う姉妹を、それぞれに輝かせながら立派に育て上げた君島十和子さん。お子さんが小さかったころ、子育てで意識していたことはありましたか。
十和子さん:私は結婚前は芸能界、出産後は美容業界で働いていますが、「仕事」というものは自己形成の上でとても大切なものだと思っています。壁にぶつかって苦しんだり、もがいたりする時間は、私を成長させてくれましたし、「生きている」という実感を与えてくれました。
ですから私は娘たちにもぜひ、「仕事」を持ってほしいなと思ってきたんです。必ずしも就職という形でなくてもいいのですが、自分の良さや力をしっかり発揮して生きていけるようになってほしいな、と。
そのためにはそれぞれの特性や個性を見極め、伸ばしてあげることが大切です。それが親の役割ではないかと思い、心がけてきました。
──子どもたちの個性は、どのように見極めたのでしょうか。
十和子さん:これはなかなか難しくて、その子の自発的なエネルギーのようなものは、どんなタイミングで出てくるか分かりません。ですから私は幼いころは習いごとだったり、旅行だったり、なるべくいろいろな経験をさせるようにしていました。その中で、強く反応するものには細かく質問して……。
子どものうちは、それが楽しいのか好きなのか、自分でもわからない場合が多いと思うのです。ですからひとつひとつ、「どんなふうに思った?」「何が楽しかった?」と質問し、紐解くことで理解を深めるようにしていました。
その中で覚えているのは、長女はとにかくバレエが大好きだったこと。他のお稽古に比べて、バレエに行くときだけは目の輝きが違うんです。一方次女のほうは、小学校2〜3年生のころに「バレエはあまり好きじゃない」と。
同じように通わせているお稽古ごとでも、感じ方はそれぞれ。ですから次女にバレエを無理強いすることはありませんでしたが、その後次女は、高校でダンスのクラブに入ったとき、自分で「もっとちゃんとやっておけば良かった」と言っていました(笑)。子どもの様子をよく見ておくことはその後の選択のヒントになると思います。