──大人気の最新刊『アラ還十和子』では、エイジングへの考え方も明かしている十和子さん。30代のころは、40代を迎えることにネガティブな思いもあったとお話しされています。
十和子さん:30代のころは「40」という数字が恐ろしくて。「アラフォー」なんていう言葉は、この世からなくなればいいのになんて思っていました(笑)。
でも、人間はみんな歳をとりますし、年齢を重ねることは、失うことばかりではないものだと今は実感しています。
──それはどんなところで感じますか。
十和子さん:経験を積む分、感性も豊かになりますし、視野も広がって、以前よりものごとを俯瞰できるようになってくるんです。そうなると、漠然とした迷いや不安も、「ああ、こういうことか」と、軽く飛び越せるようになることもあって……。
30代のころの私は、それこそ迷路の中で、壁にぶつかりながら歩いているようなものでした。それが40代になると、壁の向こうがちょっと見えてくるような感じ。「あっちのほうがゴールなのかな」って、ぼうっとした灯りのようなものが見えてきます。
さらに50代になると、「こう行って、こう行けばいいんじゃない?」というルートが「勘」でわかるようになるんです。そうなると楽しいですよ。それは、経験を重ね、自分のことも理解して、判断材料が増えたからこそだと思っています。だから今は以前より生きやすくなっている気がします。